デビのことⅡ

携帯電話は無事に出てきました。
僕がお客様の車に置き忘れたみたいです。
どうやら兵庫県龍野市まで旅に出てた模様。
その間の着信14件。
電話を掛けていただいた方に関しましては申し訳ありませんでした。
また、目覚ましは早朝から鳴るようにセットしてありました。
預かっていただいたお客様に関しましても本当に申し訳ありませんでした。

さて、デビの話の続き。

デビとの最後の夜の食事会は盛り上がりませんでした。
だから、「最後やから1時間だけカラオケに行こう」と、言いました。

この発言に盛り上がったのか、微妙な空気が流れたのかは分からんけど、
とにかくこのまま沈んだ空気で終わるのはイヤやったので、
強引にみんなをカラオケに引っ張っていった。

僕は普段はカラオケは全然歌わへん(実はうまいのですよ)
でもこの日は英語のしかもノリの良いマイケルジャクソンやレディガガなどを数曲。
カラオケボックスの病院のアルコール消毒に似た焼酎も数杯・・・
もう、べろんべろんに酔っ払った。

カーティスは超美声。
デビも大はしゃぎとまでは行かないけどまあご機嫌

そして最後の宴の終焉の時間が来た。
カラオケボックスの店の外でデビは一人一人と握手をして抱擁した。

そして僕の番が来た時、デビは僕の耳元で
「YOSHIHARA、アリガト・・・」
その言葉を聞いて、このニュージーランドのふてぶてしいBIGBOYに
本当に申し訳ない気持ちになった。
「ゴメン・・・」
謝る場面ではないのかもしれない。

最初は外国人投手を招くのに積極的ではなかった。
来日してからも自分のお店で雇い入れる事にも消極的だった。
でも、僕の元に来た以上、このふてぶてしい18歳の若者に
最高の笑顔でソフトボールして欲しかったし、
最高の思い出を作って欲しかった。
その思いが叶わなかったことと、つらい思い出ばかりになってしまったことで
本当に申し訳なかった。
久しぶりに泣いてしまった。

翌日・・・・
夜の飛行機が発つ前にBIGBOYはTAX泉北にやってきた。
スタッフ一人一人にお土産を持って。
女性スタッフにはパウル買いとグリーンストーンのペンダント。
店長にもなぜかお揃いのペンダント。
そしてS鍋には木彫りのペンダント。

(なにかのお守りらしい)

そして僕には何の意味か分からないけどマオリ族の武器。
(写真撮ってません)

晴れ晴れとした顔やった

そして空港にはこの日OFFのS鍋が送っていった。
送る途中、S鍋が「TAX泉北の前を通ります」と電話をくれた。
偶然、お店の前の信号で止まったので、
僕はマオリの武器を手にとって手を振った。

「YOSHIHARA、ガンバ、アリガト」

また、目から涙があふれた

S鍋が「また来るって言ってます」

・・・・
涙が止まった(笑)

世の中で僕のことを呼び捨てにする数少ないヤツやったけど(笑)
デビと過ごした1ヶ月とちょっとの間は本当に楽しかった。

空港で・・・
S鍋が飛行機が立つ前に最後の食事をしたらしい。
一通り食事をしたあと、満腹したかどうか聞くと
「ソウソウ」(まあまあの意)
「じゃあ、追加を頼んで良いよ」と言うと、
「フライドライス」
おまけにコーラを7杯(笑)

やっぱりデビはデビやね(笑)

搭乗口にデビが消えていく時、S鍋に
「KOUJI、アリガト、アリガト」
と言ってデビは涙を流していたらしい。

これをなぁ、もうちょっとみんなの前で言えたらな・・・

これからの彼のニュージーでの生活がどんな風になるかはわからんけど、
君も立派な大人になる。
だから、頑張って生きていかなアカン。

今度日本に来る時はニュージーの代表ピッチャーになって帰っておいで。
(コーラは控えめに・・・)

ガンバ、デビ。