電車はしんどい時もあるのです

買取の車の引き取りに行くため、地下鉄に乗った。
最寄のなかもず駅は地下鉄御堂筋線の始発駅なので
ほとんど高い確率で座ることが出来る。

実はこの時間はかなりの幸せな時間。
会社でも自宅でもほとんどボーっとする時間がないので
電車に座って本を読んだり、考え事をしたりする時はかなり安らぐ。

途中の駅で人が乗り込んでくる。
だんだんと電車は混雑してくる。
気が弱い僕は昼の日中から大の大人が電車に座っていることが罪に感じてくる。

自分の半径1mにお年よりはいないだろうか?
いたら、真っ先に声を掛けようとするのだが、
いなかったらいなかったで少しホッとする。

でも、よくよく見渡してみると、
周りに座っている人間は自分より年齢の若い人たちが多い。

頭は再び思考に耽る。
ああ、人生を半分以上生きてしまったのだ・・・と。

思えばこの数十年、いったい何をしてきたんだろう?
「ああでもない、こうでもない」と講釈を垂れながら
いったい自分自身に何を残せたんだろう?
これからの一日、あるいは一瞬を大切にしなければならないと思う。

意識は我に返る。
身体が大きいのでいつも座る時は座席の端っこに座る。
端っこに座ると扉の際に立つ人のどこかと接触してしまう。

果たしてどこに接触しているのか、身体なのか、それともカバンなのか?
怖くて横を見れないのだが、すぐ際にいるのは女の人であることが容易に分かる。
また、ここで想像は近い未来にまで及んでしまう。

女性が叫ぶ。
「この人、肘で私のお尻を触ってました」
通報を受けた駅員さんが
「すいません、事務室までご同行願えますか?」
近頃の痴漢冤罪の報道で
「やってない時は同行した時点で負け、主張は聞いてもらえない」
と書いてあったのを思い出し、逃げようとするも
僕はやってないから正々堂々と事務室まで行って潔白を証明してやろうと思う。
で、まもなく警察が来る。
「やったんやろ~、正直に言うてみい?」
「正直に言うたほうが確実に早く出れるで、示談っちゅうのもあるし?」
その誘導に負けるはずはない、なんせ自分はやってないのだから。
一定期間拘留されても、企業に勤める人と違ってクビになることはない。
裁判になったとしても家族も従業員も僕を信じてくれるだろう。
(唯一、嫁だけが「ああ、やっぱり・・・・」と思うかもしれない)
でも、裁判で潔白を証明するにはかなりの費用と時間と労力がかかるだろう。
で、結局は邪魔臭くなって、潔白にもかかわらず示談の道を選んでしまうのか?
そうなったら子供たちは僕のことをどう思うのだろう?
スタッフに軽蔑されないだろうか?
家でも会社でも独特の空気が流れたまま時間が過ぎる。
女性スタッフは急によそよそしくなる。
「この痴漢おやじぃ!!」
心の中で思われていないだろうか?

そんなことになったらいやなので、そそくさとその席を離れる。

やがて地下鉄は乗換駅の淀屋橋駅に着く。

久しぶりに京阪電車に乗った。
地下鉄の淀屋橋で京阪電車に乗り換える時、
発車のベルが鳴っていた急行に運良く飛び乗れた。
椅子に座って落ち着いた時、ふと不安になった。
果たして目的とする駅に急行が止まるのか?

路線図に目をやった。
どうやらその急行は目的の寝屋川市駅に止まることが分かって一安心。
ところがそこでお客様から電話があって、
一駅手前の萱島駅に迎えに行くとの事。
路線図に再び目をやると・・・
萱島駅で降りるには手前の守口市駅で降りて各駅停車に乗り換えなければならない。
この急行は守口市駅に止まるのだろうか?
路線図の守口市駅の箇所には通常の停車の丸印と異なる丸が付いている。
もう、ごっつい不安・・・・
でも、無事に僕の乗った急行は守口市駅に停車した。

そこから各駅停車に乗り換えて萱島駅に着いて外に出たら
お客様が迎えに来てくださっていた。
何かものすごく苦労してたどり着いた気になったので涙が出そうになった。

電車は大変・・・・

毎日、乗られている方に対しましては本当に頭が下がる思いです。