緊迫の15分間②

再び脚立に乗って少し開いた窓の隙間から腕を突っ込んでドアロックの開錠を試みます。
何十回チャレンジしたころやろう?
ちょっとロックに手ごたえがあったような気がして、鳥羽と二人でドア持ち上げたらちょっとだけ持ち上がりました。
そこで思い切り二人でドアを持ち上げたら何とかドアが開きました。

開いたドア、手を放すと落ちてくるので通行人の人と鳥羽が協力してドアを保持します。
運転席の人、すなわちこの瞬間は横転した車内の下に位置している人は冷静に警察に電話しています。

「大丈夫、僕らは車屋やから。警察にもきちんと報告してます」

ただ、現場におった相手車、なぜか姿が見えません。
2事故を避けるために交差点の向こう側に自車を移動した模様。

「中谷、ナンバーの写真撮って来い」

おとうちゃん、もう大丈夫や、ドア開いたで、すぐに助けたるで。

しかし。。
シートベルトがロックして外れない。
脚立に乗っている僕の位置からは腕を伸ばしてもベルトのロック位置までは届かない。
何とかして本人にベルトを外してもらうしかないのです。

「がんばれ、もうちょっとや」

この間、多分1分か2分やったんやろうけど、相当長く感じます。

「中谷、はさみ持って来い」

「はさみっすか!?」

と、力強く答えた中谷がなんかちっさいはさみ持ってきそうな気がしたのは僕の考えすぎやろうか?

そんな時、ガチャっと音がしてやっとのことでベルトが外れたのです。

脚立の上から運転者の両脇に腕を伸ばし、

「頑張れ、頑張れ」と励ましながら男性を引き上げます。
脚立の最大負荷が気になったけど、そんなことはかまってられません。

足場が悪いのでなかなか男性を引き上げられません。

でも、男性が必死で頑張ってくれたので、なんとか横転した車内から男性を引き上げました。
脚立の下で待っていてくれた数人の人が男性を僕の手から受け取ってくれました。

上に位置している助手席の人が救助されると運転性の人の避難路も確保でき、
車内の後部から乗り込んできてくれた人が助け出してくれました。

とりあえず、車内から全員命に別状なく脱出できたのでひと安心。

あとは事故処理の問題もあるので。

「すいません、目撃者の人いませんか?」

そう、僕らは音聞いて駆け付けたけど、瞬間は見てないのです。
目撃者の人がいないと、以前に述べた「お互いに青」主張で賠償の話がうまく進みません。

すると一人の人が名の出でてくれました。
なんとかこれで後の保険の話もうまくいくでしょう。

この辺で救急車も警察もなんと消防車まで来たので僕らの役目は終わりです。
ほんまに、命をなくす人が出なくて良かったです。