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ゴン

2006年03月25日

あのね、今日からは一旦メモ帳のソフトに
保存してからブログにUPします。
昨日みたいに一世一代の大作を反故にされたらかなわんので・・・・

昨日、和泉市の保健所から突然の電話。
「あのー、泉佐野警察で保護された犬がお宅からいなくなった
ワンちゃんに特徴が似ているんですけど・・・・」
和泉市の保健所、これで2回目の情報提供。
本当に親切な保健所だ。
それに比べて我が堺市の保健所、1回も情報をくれたことがない。

ここで補足説明。
僕の実家に住んでいたオス犬のゴン17歳、
2月15日から行方不明になって、いまだ見つかっていません。
この犬、しょっちゅう家を脱走して、長いときは3日ほどしてから
家に帰ってくるので今回もそのうち帰ってくるだろうと思っていたところ、
3日経っても帰ってこないので保健所に迷い犬の届出をしたのでした。

話は元に戻る。
実は2週間前にも泉佐野の警察から情報が入って迷い犬を見に行った。
そのときはある程度の期待もあって見に行ったのだが、
保護されていた犬はまったくちがう犬で、
かなり、落胆したので今回はあまり期待せずに行った。
まあちょっと冷たい言い方になるが、
もう目もほとんど見えていないゴンが
この1ヵ月半、あたりをさまよった挙句、
20km離れた泉佐野警察で無事に保護されているとは思えない。

大阪市内のお客様の所を訪れた後、
阪神高速湾岸線を使って泉佐野警察に到着。
拾得物の係りの担当者に保護されている犬の確認に来たことを告げ、
迷い犬を見せてもらうように願い出た。
担当者は面倒くさそうに
「ああ、それならこちらです」と、建物の外へ案内してくれた。

建物の外へ出ると、先に白い短毛の犬が見えた。
その犬は人間がそばを通るたびキャンキャンと鳴いていた。
「ああ、あれね、保護されてはじめのうちは大人しいんですが、
3日も経つと、ああやって鳴き出すんですよ」
警察には拾得物として預かるので
2週間ほどは手厚く保護されるらしいのだが、
飼い主が現れないと、その後は保健所に送られるらしいのだ。
保健所に送られると、その後は・・・・ご想像の通りだ。

この短毛の白い犬、この場所に保護されて1週間になるらしい。
飼い主が現れる場合はほとんど1週間以内に現れる。
1週間経って現れない場合は、
そのあと1週間待っても飼い主が現れることはほとんどない。
この犬は自分の運命を悟ったかのように、
また、最後の悲痛な叫びを人間に伝えるかのように
狂ったようにキャンキャンと鳴いていた。
僕は人間社会における動物という生命のはかなさを感じながら
その白い犬の横を通り過ぎて、もう1匹の犬のところに案内された。

「ほら、あそこに見えるでしょ、あの犬が今回お知らせした犬です」
担当者はまたも邪魔くさそうに言った。
指差されたほうに目をやると、入ってきた光景に目を疑った。
横たわったその貧相な後ろ姿の特徴は
探し続けていたゴンそのものだった。

心臓がバクバクと鳴った。
走って行きたい衝動に駆られながら、ゆっくりと気を落ち着けて、
こみ上げてくる感情を無理やり押さえつけて
その茶色の貧相な犬に近づいた。

近づいてくる僕に気がついたのか、その犬はこちらを向いた。
一瞬、何がなんだか分からなくなった。
その犬の顔、しぐさ、体の特徴、どれをとってもゴンそのものだった。
でも、なんとなく自分の感情に違和感を感じていた。
よく見るとゴンよりかなり若い。ゴンよりかなり綺麗。
うちのゴンは年寄りで、汚くて、貧相で可愛くは見えない。
でも、この犬は若くて可愛くて綺麗だ。
限りなくゴンにはそっくりだが、やはり、ゴンではなかった。
(ゴンが見つかった)と無理に思い込みたい感情が
錯覚を起こさせたのだった。

ためしに「ゴンッ!!」といつもの呼び方で読んでみた。
ゴンに似た犬はうれしそうに尻尾をふり、
僕の差し出した手をいとおしそうに手を舐めた。
ああ、やはり、ゴンではない。
ゴンは絶対に僕の手を舐めたりはしない。
また、人間に媚を売ることもしない。

涙が出そうになった。
こみ上げてきた感情を抑えるのに懸命だった。
もうあきらめかけていたゴンの記憶がよみがえり、
たまらない気持ちになってしまった。

しばらくそのゴンに似た犬をなで続けた。
自分の境遇を理解していないのか、
飼い主が現れなっかたときのその後の絶望を感じていないのか
ゴンに似た犬は無邪気に僕にじゃれ付いてきた。

僕「うちの犬とはちがうようです・・・・・・
この犬、飼い主が見つからなかったらどうなるんですか?」
担当者「うーん・・・保健所行きやな・・・・」
僕「飼い主は見つかりますよね?」
担当者「半々・・・・かな?」
ぶっきらぼうだが、親切そうな担当者の返答は
その犬への悲哀の感情を無理に隠しているかのような声だった。

警察署を後にした。
頭の中はゴンのことでいっぱいだった。
うちに来た時のことから、最近のことまでが思い出され
帰りの車の中、運転しながら涙が出てきた。

ゴンは今頃何をしているのだろう。
どこかで飼われて幸せに暮らしているのか?
それとも、考えたくはないが、この春の長雨と泥にまみれて
通り過ぎる人にも気付かれることなく、
道端でその生命を終えているのだろうか?

警察署で見たゴンに似た犬。
「飼い主が見つからなかったら連絡下さい」
という言葉が喉元まで出かかった。
でも、懸命にその言葉を抑えた。
ゴンに似た犬を僕が保護するということは、
本物のゴンをあきらめるような気がしたからだ。

一番いいのはあの犬が無事に飼い主の元に帰れることだ。
でも、帰れなければ・・・・・
僕の頭は今でも葛藤している。

思わず、携帯に納めた写真