今日のは長いよ

脳の検査にいってきた。
昼過ぎに行って夕方遅くまでかかった。

脳の検査というとどんな光景を思い浮かべますか?
なんか頭にたくさんの電線をつけるアレですよね。
そう、まさに実際の検査は想像の通り、
頭にたくさんの電線を着けて行うのです。

電線をつけている間、不安で仕方がいないです。
人より頭が大きいので
電線の数がたくさん必要なのではないか・・・
もしかしたら頭の中で考えていることが
検査の機械の端末に文字になって現れるのではないか・・・
だとしたら、さっき見た綺麗な女性技師さんのお宝ショットは
思い出したらいかんなとか・・・・・
どうもバカな発想ばかりが浮かんできます。

しかし、準備が整ってベッドに横たわった瞬間、
やはり健全でない僕の体は弱った発想を脳に送り込みます。

それは「死」についてのこと。
先日いただいたコメントがやけに頭の中を駆け巡ります。
「夜に寝たら、そのまま目が覚めなくなったらどうしよう」

子供達にそして奥さんに、親に、店長に
また、今までお世話になった色んな人に・・・・
一人一人に送る言葉を考えてしまいます。
そう、このまま朝になって冷たくなってしまいたくはない。
もし、どうしてもそうならざるを得ないなら
6ヶ月ぐらいはその準備する期間が欲しい。
その6ヶ月の期間に色んなことを整理したい。

こうして思えば何もかもが中途半端。
家庭も仕事もソフトボールも・・・・
長い間生きてきて僕は一体何をしてきたのだろう?
今まで「本気」で取り組まなければならないことに
果たして全力投球できてきたのか?
不慮の交通事故や突然死で亡くなった方達が
どれだけ現世に思い残したことがあっただろうか?

・・・・と考えたのが約15分。
あと残りの30分ほどは仕事のこととか、
会社の仲間のこと、家庭のこと、
あの場面であの一球を投げてしまったこと

違う仕事についていたらどうなっていたのか?
阪神は今年、優勝できるのか?
検査が終わったらもう一度、お宝ショットが見れないものか?
そんなことを考えていたら
あっという間に脳の検査が終わりました。

脳の検査が終わったら
20分ほどの時間を置いてMRI検査。
思えば今年に入ってMRIの検査は3回目。
首、腰に続いて今回は頭部の検査です。
経験した方ならご存知でしょうけど
MRI検査を受けるときは金属を身に着けているのはNG。
ジッパーやボタンのあるズボンは脱がされます。
(しまった、さっきの待ち時間にトイレに行ってしまった)
いや、別に粗相をしたわけではないのですが、
やはり年を取ると「キレ」が悪いです。
もしかしたら「キレ」の悪さが、パンツを見られたとたん
技師にばれてしまうかも・・・・・

必死にシャツのすそを引っ張って前の部分を隠します。
検査技師、気付いてか、気付いてないのか、
その部分に目をやりません。

あの狭いMRIの機械に入っても
そのことが気になって仕方がありません。
でも、10分も経つと、
「もしそうなっていたとしても乾いたかも」という安心感と、
いつもの想像癖が僕のパンツの心配を打ち消します。

MRI検査、いつもなら機械の中でウトウトするのですが
今回は頭部の検査ということで、耳元で大音響。
これでは睡眠は取れません。
睡眠が取れないとなると、
やはり楽しいことを考えるしかありません。

2006年10月1日、場所は甲子園球場の阪神-中日戦。
9月後半の阪神の怒涛の追い上げと
中日の不調とでゲーム差はなんと0。
勝った方がセリーグの頂点を決める大事な試合。

観客席にはわが家族一同。
9回表、1点差で負けていた中日は最後の意地で
連投で疲れの見える阪神のクローザー藤川に襲い掛かり、
土壇場で同点に追い付く。
藤川、後続を絶つものの、首をうなだれてベンチへ。

その裏、阪神の攻撃。
この回、無得点に終わって延長に入ると、
ピッチャーを使い尽くした阪神にとっては絶対の不利。
どうしてもこの回で決着をつけなければ優勝の目はない。

マウンドには中日の抑えの大エース、岩瀬。
先頭の7番打者矢野はキャッチャーフライに打ち取られ1アウト。
続く8番藤本、強烈な打球はセカンドの正面を突き2アウト。
次打者はピッチャー藤川の場面だが、
藤川なかなかベンチから出てこない。

このとき、観客席で観戦していた僕は家族に
「ちょっとトイレ」と言って席を立つ。
一緒に見ていた家族
(この大事な場面で何でトイレ?)

次打者がなかなか出てこない状況に業を煮やし、
落合監督、審判に抗議。
ここで岡田監督、やっとベンチを出て代打を告げる。
甲子園球場場内に大音響の音楽が流れる。
曲は
「ロマンティックが止まらない」

チャチャチャチャッチャラチャラチャ~ラチャ~
チャチャチャチャッチャラチャラチャラッチャッチャツチャ

ウグイス嬢のアナウンス。
「阪神タイガース、選手の交代をお知らせいたします
バッター藤川に変わりまして、代打yoshi
9番、バッター、yoshi」

相手ベンチも観客席も阪神ベンチもあっけに取られる。
「えーっ?この大事な場面でyoshiって誰や????」
5万大観衆の中で、たった3人だけが息を呑む。
「もしかして・・・・・・お父さん?」

そう、この2006年ペナントの行方を決める大詰めの場面で
岡田監督の指名を受けたのは何を隠そうこの僕だった。
岩瀬との初対決。
嫌がおうにも気合は入る。
スイングは「足、腰、肩の順番」と基本動作を繰り返す。
「岩瀬よ、絶対に打ったる」
「阪神ナインよ、俺が2年連続のペナントを決めたる」
「息子よ、娘よ、嫁よ、俺の生き様をしっかりと見ろよ」

ここで、耳元でささやく声。
・・・・・終わりましたよ~。
(え?うるさいな、この大事な場面で何?)
検査終わりですよ。お疲れ様でした。

え、終わり?
検査が終わり???
ええーーーっ
この大事な場面で終わりかい

この先の展開、
きっと都合のいいように想像していたに違いないが、
ここで空想の時間は無残にも終わりを告げたのでした。
まあ、空想って言うよりは半分、寝ていたんだけどね。

こんな想像?夢?を見ていたおかげで
すっかりと元気になりました。
昼間感じなかった食欲も出てきて、吉牛へいっちゃいました。
夕方に食べた豚汁、煮詰まっていて美味しくなかったです。

それにしても・・・・・・
一回でいいから甲子園で打席に立ちたい。
バカ?と思われてもいいから・・・・・

今日は1時間以上かかった力作なので70点。
もうそろそろ寝よう。
あの打席の続き、見れるかな?