近畿子供ソフトボール連盟秋季大会②

今週の日曜日、午前中は参観日。
授業参観だけでなく、地域の子供会の活動を発表できる場でもあるので
我が子ども会ソフトボールチームも日ごろの活動の発表をします。

そこで先日の選抜大会の優勝旗を展示するために
優勝旗のリボンに私が文字を書くことにしました。
本当は近所の字の上手い奥さんに書いてもらうはずだったのだけど
リボンを用意するのに時間がかかって、
期日までに書いてもらうには間に合わず、私が書く羽目になりました。

でも、私はこれでも文学部国文学科卒。
書道は得意なはず?なんですが、最近はあまり字を書く機会もなく
たった20文字ほどの字を書くにも緊張します。

第二十回優勝・・・

字は下手だけど、まあ今回は発表に間に合わすことが大切。
字の割付だけは考えて慎重に書いていきます。
最後の方が入りきらなかったら洒落になりません。

とりあえず今日の分は書くだけ書いて、
後でリボンをもう1本用意して、近所の奥さんに書いてもらうとしよう。

第二十回優勝 平成二十年度 北条レッドフィ・・・

うぁっ!!

嫁さんが隣で大声を出しました。

え?
な、なに?

レッドフィ・・・じゃなくてレッドファイターズやん

ノ、Noォォォォォーーッ!!!

なんと優勝旗に書く文字を間違ってしまいました。
それも自チームの名前のカタカナの部分を・・・

ィを必死でァに直しました。

歴代の優勝チームのリボンを見ても字が間違っているチームはありませんな。
情けない・・・・

さて、昨日の話の続きです。
強豪ばかりの近畿子供連盟の1次予選の1回戦を何とか勝ち抜き、
続く2回戦は大阪府知事杯のベスト4のチーム。
春の府下の大きな大会でもベスト4のチーム。

勝てるはずはない?
そこそこ強くなったとはいえ、
相手の子のキャッチボールを見ていると、体格だけでなく基本から違います。

試合前の整列の時も相手と目をあわすことなくおどおどしていた子供たち、
果たしてまともな試合になるんだろうか?

初回表の攻撃、1番バッターの6年生、いきなり強襲ヒット
おお!やるやん!!
2番バッターは三振したけど、相手バッテリーのミスに乗じていきなりの先制点。
うちのエースも調子が悪いながらも要所を押さえて2回裏までは1点リード。

そして3回表のうちの攻撃、波はこの回にやってきました。
先頭の9番バッターが内野安打で出塁するも続く1,2番は三振で2アウト。
ワイルドピッチで2塁に進んだ場面で3番バッターは敬遠気味のフォアボール。

4番のうちの息子にそっと耳打ちしてやりました。
「お前、舐められてるで」
そこで息子、発奮したのかどうか分かりませんが執念のライト前ヒット。
欲しかった場面で待望の追加点。
相手エース、動揺したのか5番バッターはフォアボール。
ワイルドピッチで2アウトで2,3塁。
6番バッターは普段は大人しいけど、静かな中にも闘志を秘めた5年生。
粘りに粘った挙句、レフト前にタイムリー
なんと4-0になりました。

4点差があれば調子は悪くてもうちのエースが追いつかれるはずはない。
でも、気を緩めたらあかん。
あくまでもうちはチャレンジャー、
今日のテーマは強豪相手に楽しんで120%の力を出すことが目的です。

続く3回裏。
チャンスの後にはピンチありと良く言った物です。
一つのエラーをきっかけにずるずると2点取られてしまいました。

それでもスコアは4-2。
残り試合時間はあと15分少々。
次の攻撃の時間を長くすればひょっとすると4回で試合は終了?

でも、そこは100戦練磨の相手エース。
8,9番バッターをポンポンと三振に取り1番バッターをフライで打ち取ります。

この裏の相手の攻撃。
ここが大舞台に慣れているチームの違うところ。
下位から始まるこの回の攻撃を早打ちで早く終わらせて、
次の回の上位打線の攻撃にかけようとします。

試合終了まであと3分で次のイニングに突入しました。

このイニングのうちのチームも上位打線。
でも、2,3,4番であえなく三者凡退。

さあ、いよいよ最終回の守りです。
2点入れられて引き分けでも勝ち点差でうちのチームが2次予選進出。
大番狂わせ、うちのチーム始まって以来の快挙です。
「さあ、最後や、思い切り楽しんでやって来い、お前らの力を俺に見せてくれ」
大声を出して涙をこらえて子供たちを最後の守りに送り出しました。

相手のこの回の攻撃は2番バッターから・・・
この2番バッター、しぶとく内野安打で出塁。
続く3番バッターは右中間にポトリと落ちる2塁打。
2,3塁から4番は敬遠気味のフォアボール。
なんとノーアウトで満塁の大ピンチ。

僕は普段は取らないタイムをここで取ります。
「こんな面白い場面ないで、思い切って楽しんでやろう、勝ち負けは二の次や」

続く相手の5番バッター、今日は彼に2安打されてます。
カウントは2ストライク1ボール。
ここで僕はテンパッていたのかどうしようもない指示を出してしまいます。
「バッテリー、よく考えて・・・」
そう言われたら子供はテンパッてしまいます。
キャッチャーのうちの息子、チェンジアップのサインを出しました。
そこでエースが投じたチェンジアップはワンバウンドになり、
キャッチャーの足の間を抜けて3塁ランナーホームイン。
これで1点差です。

1点リードだけどノーアウト2,3塁。
でも、エース、何とか5番バッターを浅いセンターフライに抑えます。
センターからは矢のようなストライクの送球で3塁ランナーは釘付け。
これで1アウト2,3塁。

なんとか守りきってくれ。
それを思う気持ちがこの回は声になって出てしまってました。
子供たち、特にうちの息子にはプレッシャーを与えていたのかも知れません。
続く6番バッターへの投球をパスボール。
3塁ランナーはホームインで同点。

続く1アウト3塁からのサードゴロのファーストへの送球の間に
逆転のランナーがホームインしてしまいました。

これでゲームセット。

子供たちは礼を終え、肩を落として僕の元に集まってきました。

試合は負けたけど僕は声を振り絞って

春先にコールド負けを繰り返していたお前らが
ここまでやれるようになるなんて・・・
今日はもう大満足や。
お前らと一緒にやってきて良かった。
本当に監督やってよかったです。
ありがとう。
でも、最後は僕オレの力不足や。
ホンマにゴメンな。

悔しかったけど大阪で常に上位にいるチームに互角以上に戦えたことが嬉しくて、
でも、あともうちょっとで勝利を逃したことが悔しくて、
最後に監督として機能できなかった自分が腹立たしくて
僕は声を掛けながら感極まって泣いてしまいました。

すると今までこらえていた子供たちも泣き出しました。
特に最終回、2つのパスボールをしてしまったうちの息子、
もう、倒れてしまうのではないかと思うぐらい嗚咽して泣きました。

今まで試合で泣いたことのない5年生も泣きました。

みんなしばらくその場を動けませんでした。

試合に負けたのは最終回の指示をミスった僕のせい。
「楽しんでやれ」と言いながら、テンパッてしまった僕のせい。

子供たちに自主的にやらせるつもりやったのに、
つい熱くなってしまって、その空気が子供たちに
悪い意味でのプレッシャーを与えてしまいました。

本当に申し訳ないことをしました。

帰りの車の中、子供たちはしゃべろうとしませんでした。

でも、ようく考えると今年で一番楽しい試合でした。
一番熱く燃えられた試合でした。
ちょっと落ち着いてから
「楽しかった?」と聞くと
ほとんどの子が「楽しかった」と言って笑ってくれました。

考えてみれば僕自身も今年で一番悔しかったけど、一番熱くて楽しい一日でした。
ソフトボールであんなに熱くなれたのは学生時代以来。
子供のひたむきなプレーが僕に素晴らしい一日をプレゼントしてくれました。

あなたたちは最高や。
本当にありがとう。