ソフトの話-ちょっと長いです。

まあ、4月から子供のソフトボールチームの監督を引き受けてる訳です。
まだ、半月しか経ってなくて、練習も4回ぐらいしかやってないけど、
ひと言で言うと、楽しいんですよ、これが。

10~14歳の頃は精神面でも肉体面でも大きな成長を遂げると言います。
学年で言うと小学校4年生から中学校3年生ぐらいまでの学年です。
巷ではこの年齢の時期をゴールデンエイジなんて呼び方をする人もいますが、
まさにその通りやと思いますわ。

先月までボールを怖がっていた3年生がボールに向かっていくようになったり、
ボールにバットを当てることすら苦労していた4年生が、
たったひと月で今は「どこまで飛ばすか」をテーマに取り組んでいたりと
ちょっと学年が変わっただけで取り組み方も大きく変わるものです。

やっぱねえ、学年が変わるということは大きな事なんですね。
おうちの中ではまだ甘えん坊な彼等も、
5年生、6年生ともなるとチームの中では上級生。
おにいちゃんの意識でプレーするようになるんですね。

そうやって意識が変わればプレーも大きく変わります。
これまでは「エラーしたらどうしよう」が「何とか取りたい」に
「打てるはずがない」が「このピッチャーから打ちたい」になるんですね。
そこに肉体的な成長も加わるので、この時期はゴールデンエイジなんだと思います。
だから、この時期に適正な指導をしていく事が大切です。

では、何を持って適正な指導と言うんでしょうか?
色んな指導法があるので何が適正って一概には言えないんですけど、
僕は能動的に、積極的にプレーさせてあげる事が大切だと思います。

そのためにはまずはひとつ目をクリアしていくことやと思います。
ひとつ目ってなんですか?
ひとつ目は雰囲気ですわ。
チームのみんなが仲がいい事が大切やと思います。
人間関係がうまく行ってないと、ソフトを楽しむとか以前の問題ですわ。
これは大人でも同じですよね?

ふたつ目は基本です。
体が大きな子や小さな子、おとなしい子、やんちゃな子、色んな子供がいます。
でも、基本はどの子にとっても同じなんです。
投げること、捕球すること、打つ事、
その手段は色々あるんやろうけど、基になる所は同じです。

ここをクリアすれば、子供はプレーする事が楽しくなるんだと思うのです。
例えば、ダッシュをするときは陸上をやっていたコーチに走り方を教えてもらいます。
ベースのまわり方は野球経験者に教えてもらいます。
そうすると驚くことにベースランニングのタイムが先月より1秒以上も縮まったりします。
こうなると、運動場のトラックを走るのは遅い子でも
ベースランニングは得意やと思い込むんですね。

キャッチボールの最初は野球のピッチャーの投げ方でやってもらいます。
いわゆる「セットポジションから片足で立って」というやつです。
実際のソフトの試合中にこんな投げ方でスローすることはないんだけど、
「体のどこを使って投げるか?」「最初に体のどの部分を動かすか?」
を、体で覚えてもらう為には大事なことです。
そうすることで今までより軽い投げ方で強くて正確なボールが投げられるようになり、
肩や肘の怪我も少なくなります。

ゴロ捕球練習の時は手で転がしてます。
正しい捕球姿勢を覚えることと、ボールを怖がらないようにする為です。
これは時間をかけて徹底的にやります。
何度も反復してやっているうちに、結構綺麗なフォームで捕球できるようになります。
それどころか、返球のフォームもちょっと教えるだけで綺麗に投げるようになります。
次にバットを持ってノックしてもボールを怖がることはありません。
「捕る事」だけがテーマではなく、
「アウトにすること」がテーマになっていたりします。

打つときは体のどこを使ってバットを振るかを徹底的に教えます。
「前で打つ」このことを正しく理解していない子供が多いです。
「引き付けて、前で打つ」これをやってこそ、
前後の移動で打つのではなく、
体の回転でバットを振ることで正確にとらえる事が出来、
ボールも遠くへ飛ぶようになります。

体格などに個人差があってもここまではどの子に対しても同じです。
基本は同じですわ。
基本の上に「適性に応じた適正な指導」があるんやと思います。
苦手を克服することも大事やけど、得意なことを伸ばしてあげることで
自信に繋がって行くんやと思います。

例えば、守るのがヘタでも打つ事が得意な子は、
試合の大事な場面で打ってくれるという期待をみんなが持ちます。
足の速い子は出塁すると、みんなが「盗塁してくれる」という期待を持ちます。
守備の上手い子は「あそこに飛んだら安心」という期待を持ちます。
期待を持たれるっていう事は「信頼される」って言うことなんやと思います。
信頼されると自信に繋がるし、ひとつ目の雰囲気も良くなっていくと思うんです。
だから、3つ目は得意な分野を伸ばすことです。

こうしていくことでソフトボール自体が「楽しく」なってくれればいいと思うのです。

最初はメチャクチャ不安でした。
子供たちがこういう練習方法をどう思うか?って事と
父兄の方たちに受け入れられるか?という不安が付きまといました。
でもね、子供たちは意外にもこの練習方法が面白いって言うてくれたんです。
子供らが面白いって言って積極的に練習してくれるので、
何人かはすごく伸びてきたんですよ。
父兄の方たちも喜んでくれて練習にも積極的に参加してくれてると思います。

もっと時間がかかるかと思って心配していたけど、
意外にも早く形になってきたような気がします。
それもこれも子供たちのおかげです。

開花する時期に個人差はあれど、
今がゴールデンエイジである事に変わりはありません。
当たり前のことやけど、プレーするのは子供たちであって、監督コーチではありません。
上手くなるのは子供が自分で上手くなっていくんです。
本人たちが積極的に取り組むのとそうでないのとでは効果に差が出ます。

だから僕らはその手助けをするだけ。
なるべく勉強して正しい方法で手助けをしなければなりません。

明日は初試合です。
新チームになってから実践練習はほとんどしてません。
多分、ボロボロに負けることでしょう。
でも、めっちゃ楽しみです。

負けてもエエやん、みんな一緒に楽しんでやろうよ。
そうすることで、段々と上手くなっていくから。

ほんで秋頃には勝てるチーム、作ろうな